フィットネス業界が直面している課題は、単に経済的なものだけではありません。顧客体験という観点から、業界全体がどのように進化していくべきか、が重要な焦点となっています。ジムを選ぶ際、消費者は価格だけでなく、アクセスの良さ、設備の充実度、そして何よりもスタッフとの関係性やサービスの質を重視します。
【2024年1月31日の新展開】
「KANEKIN FITNESS GYM」が会員増加戦略として、月会費を8,800円から2,980円に大幅削減!
千葉県松戸市に位置する、ユーチューバーKANEKIN氏が運営する「KANEKIN FITNESS GYM」は、2018年12月15日の開業から6年間、継続的な赤字に直面しています。現在の会員数は300人にとどまり、運営を維持するためには最低でも400から500人の会員が必要とされています。
数年前の大塚家具の一件を思い出させるようなこの大胆な価格改定が、ジムの経営状況を好転させるかは未知数です。
【2023年11月の価格動向】
対照的に、「VALX GYM」は価格を2,980円から4,980円に上げ、65%の増額を敢行しました。このジムは、業界の著名トレーナーがプログラムを監修しており、開業当初から現行の料金体系では運営が困難であることが予見されていました。低価格設定による大量の会員獲得は、ピーク時の混雑と設備の利用競争を引き起こし、会員満足度の低下に直結しています。
【業界共通の課題と解決策】
これら二つのケースから浮かび上がるのは、フィットネスジムが設備投資に注力する一方で、サービス業としての根本的な価値提供に目を向けていない点です。成功しているジムでは、スタッフが個々の会員との関係構築に努め、初心者に対しては適切なトレーニング方法の指導にも力を入れています。
人材育成と人件費には投資が必要ですが、これにより会員の満足度を高め、長期的な顧客ロイヤルティを確保することができます。特に、24時間運営の無人ジムでは退会率が12%に達しており、これは業界にとって警鐘を鳴らす数字です。
広いスペースを持つジムは、生存戦略として会費を平均6,000円程度に設定し、会員が求める価値あるサービスやコンテンツを提供することで、顧客単価を10,000円以上に引き上げることが求められます。